2009.5.20 新型BR・BMレガシィ誕生!C

リヤ オーナメント

さて、日を改めて試乗をしてきました。

 乗ったのは、「ツーリングワゴン2.5i Sパッケージ」。18インチホイールとビルシュタインショックを装備したグレードです。

冒頭のBC5との2ショットがそのときのものですが、間が悪いことにデジカメの充電が切れてしまい、その際の写真はその1枚のみとなってしまいました。ごめんなさい。

 ですから、これから先は先立っての展示会で撮った写真を載せています。

まず、スバルのクルマにお乗りの方なら良くご存知のことと思うのですが、モデルチェンジをして世代を跨いでも、あるいはレガシィからステラなどに乗り換えても、あまり運転席からの見切りが変わらないことです。

 キャビンフォワードのスタイルが全盛の中、スバルから他社のクルマに乗ると、助手席側のAピラーが必ず「目障り」な位置にあることにイライラさせられます。街中の交差点で歩行者の横断待ちをしていると、いちいち首を動かして、歩行者や自転車がもう来ていないか確認しなければならないからです。

 スバルの場合、どのクルマに乗っても、このAピラーとボンネットの位置関係に違いがないということ。これはおそらくなにかしらの社内基準があるはずなのですが、あまりメディアはこうした美点を伝えないので、あえて書いておこうと思います。

 その上で、今回は前席シート座面の上昇に合わせたのか、スカットル(ダッシュボード上面前端)の位置が上がっています。これには最初は戸惑いますが、走り出してみると前述の「ルーティン」が守られているために違和感はすぐに消え去りました。

2.5i Lパッケージ ラゲッジルーム

セールスの女性から電動式パーキングブレーキの扱い方などのレクチャーを受けて運転席に腰を降ろすと、確かに今までのように低い位置に「ドサッ」とお尻を落とす感覚ではなくて、「横移動」とまではいかなくても、かなり乗り降りはラクになったといえると思います。

 高齢化社会を考えれば、幅広い年齢層にアピールできなければいけないわけで、ドライブ感が変わらなければこれは実質的な「改良」といえるのではないでしょうか?

個人的に言えば、機能を満たせば「内装の質感」なんて二の次、というか「どうでもいい」ですし、印象としては今までよりスカットルが上がったことと併せて「上下にブ厚い」と感じました。

ただ、ナビとエアコンの吹き出し口の位置が動かせない以上、インテリアのデザインの自由度は最近のクルマではなかなかないように思います。

ドアトリムとの連続性がデザイン上、薄まったのも「貧相」という方もいらっしゃるかもしれません。また、ダッシュボードはウレタンではなくて堅いハード素材。表面のシボの処理などが「上手」になったので安っぽくは見えませんが、早速これに噛み付いているジャーナリストもいますね。

BC5レガシィRSと

ウレタンは強度と耐久性を持たせようとすると、密度を高めないといけませんから重くなるんですよ。整形の手間も段違いならエネルギー効率も悪い。

 プラスティックなら指で押して「プニュッ」とする「高級感」はなくともコストはもちろん、なにより軽い。

クルマを整備したことがなければこれは分からないでしょう。

 なにが言いたいのかといえば、それは軽量化と地球環境負荷軽減の観点から、そろそろこうした視点もあっていいんじゃないかということです。あくまで個人的主観ですが。

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アウトバック2.5i

走り出してみると、前後左右上下のユーティリティに今までにない余裕を感じるほかは、前方の見切りは「いつものスバル」です。ボディサイズ拡大による取り回しの悪化は感じませんでした。

 まずは、通常の「Dモード」で走り出します。新作である2.5L SOHC エンジンの第一印象は、「BC5 レガシィRS」 ほど低速トルクは細くないにしても、取り立てて書くほどの印象の薄いエンジンだな」ということ。

 「リニアトロニックCVT」は走り出してすぐにすばらしいトランスミッションであることは分かりました。

ヴィヴィオのころのECVTのような伝達効率の悪さや回転に車速が比例しない違和感は微塵もありません。しかも多少「行儀の悪い」アクセルワークでもギクシャクせずにシームレスで走る感覚は確かに新しい!しかもマニュアルシフトの変速スピードがすばらしい!はじめてCVTがいいと思いました。

 空いた広い道でちょっとペースを上げてみます。

 う〜〜ん、確かにクランク軸を中心にクランクのセンターが「公転」しているようなスバル・ボクサー独特の「ビート感」はある。この感じはなんとなく昔味わったような・・・と少し考えて、BFレガシィの「ブライトン220」に似ていることに思い当たりました。

 刺激的ではないけれど、急かさないほのぼのとしたフィール。あ〜そういえばこういう乗り味もあったなぁとしみじみと20年という「時の流れ」を感じます。でもこれだけでは「20年目の大改革」というにはお粗末です。なにしろBC5レガシィRSには6,000回転から上のスバル・ボクサー・スポーツならではのドラマティックで刺激的な世界が広がっているのだぞ。

 「あの〜」

 だしぬけに後席に座っていたセールス嬢が声を掛けてきた。

 「さっきからずっとインテリジェントモードで走ってるんですけど・・・」

 ゲッ!(汗)。

 「あ・・ああいや、iモードも携帯のiモードとは全然違いますね」

 と訳が分からないことを口ごもって、あわてて「S#モード」に。もちろんシフトはマニュアルモードでアクセルをギュッと踏み込むと・・・ゆっくり走っていたときに感じていた「ビート感」は影を潜めて、硬質なフィールを伴いながらきれいに6,000回転まで吹け切ってしまった。

 スバルの場合、この「硬質なフィール」というのは今まで縁がなかった。エンジンとトランスミッションが低い位置で「ユラユラと」揺れている感覚がどこかあった。強くブレーキングしながらステアリングでこじったりすればなおさらだった。

 ただ、それでも横置きエンジンのFFのライバルのように、エンジンのクランク軸を中心とした前後への「揺れ」とクルマ自体のピッチングやダイブが同調するような「安っぽさ」がなく、縦置きエンジンならではのドライブトレインのフリクションの少ないスムースさがアドバンテージだった。

 そのアドバンテージを「クレードルマウント」でさらに拡げたといっていい。今までのように轍にチョロチョロ動じたりもしない。思う通りにスルスルと加速してキチンと止まれる安心感。今回も富士重工業の技術陣は「いい仕事」をしてくれた。

 2.5L SOHCエンジンも静かで効率がいいだけじゃなく、「回す」というスバル・ボクサーの味わいを残してくれたことが嬉しい。ハイブリッドやEV、あるいは燃料電池へとパワープラントも転換期を迎えているのかもしれないが、突き詰めればレシプロエンジンでもここまで効率とドライビングファンを両立できる余地がまだまだあるのだということを証明している。

2012.5.20 狂信的スバリスト レガシィ 2.0 GT DIT に乗る!

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